企画展 池田亮司展 +/−[the infinite between 0 and 1]

行かなかったコトを後悔しなくて済んだ。

池田亮司+/−[the infinite between 0 and 1
4月2日(木)〜6月21日(日) 東京都現代美術館
http://www.ryojiikeda.mot-art-museum.jp/


映像に関わる者、メディアアートが気になる者には必須科目だ。


現代美術で苦手なのは、何か奇妙なコトをしてるのは伝わるが、その実、何が言いたいのかよく伝わらない、説明書きとセットで成立しているような作品。(きっと森美術館の展示「万華鏡の視覚」は、そういった作品があまりに多く辟易してしまったのだ)


東京都現代美術館の企画展「池田亮司+/−[the infinite between 0 and 1」は、大きくはわずか2つの展示しかない。


黒(暗い)1階と白い地下2階。
そのどちらも、全く間仕切りをしない空間での展示となる。


2つの展示の入り口には、これから起こるコトへの、シンプルな、地図とも、警告とも、ヒントとも受け取れるモノリスが置かれ、実際、その先に行くまでは、単なる(米粒に書かれた文字のような)コマイ仕事くらいにしか受け取れなかった。


1階では、会場全体に充満する音と、横一列に並べられた10台のプロジェクタから映し出される幾何学たち。

そしてその奥には、床から6mの天井いっぱいに映し出される幾何学。会場の闇は、プロジェクタの映像に倣いほの明るくなり、漆黒となる。

それが何を表しているのか、全くサッパリ意味はわからないが、映し出される数字や、幾何学や、光の明滅が、音と完全に同期され、否が応でも観る者を揺さぶる。
いや「観る者」ではない、作品内に居る者だ。

地下2階の展示となると、さらにそれは顕著になる。

白い絨毯が敷き詰められ、壁も天井も白く塗りつぶされている広い部屋には裸足で入っていく。

横一列に黒いパネルが並べられ、奥から「音」が届いている。


奥の部屋には兵器のような、黒くて重量のある5機のパラボラ型スピーカーが音を放っている。
音場の中心に行くと、音がぶつかり合い、クリック音が聞こえてくる。


そして、1階でもそうだったように、この置かれたスピーカーを観ることはきっと目的ではないのだろう。
白い空間に居る「人」。
ありていな感覚だけども、そこでは、新雪の中に立つ人のように、目的もなくつたなく人は歩き、その景色(SCAPE)の構成要素のひとつになっていく。もちろん自分自身も、そうやって人に観られている。

そしてまた、1階の暗い部屋に戻り、映像と音の中に身を任せてみた。
さっきはそうでも無かったが、今度は10人くらいが壁に背をもたれて地べたに座っていた。
間仕切りの無い、6mの天井の空間。東京都現代美術館という空間。

入る時に何の説明書きもないから、「観る」つもりでこの場所に来てしまうと、「体験」せずに通り過ぎていってしまうだろう。
そのことに気付いてよかった。
オススメは、1階は一番奥の超でっかいスクリーンと、10コのスクリーンが同時に視界に入る場所。
2階はあてどなく歩いてみること。


あと、東京都現代美術館は常設展示も楽しいのでホントオススメ。ドラフトがトータルデザインをてがけたベトナムカフェもグー!