映画「ヤッターマン」のこと


マンガの実写化


マンガを実写化した映画は、常にマンガと現実の間の「落としどころ」を探っている。
で、そこんところがこの実写化されたマンガを観る楽しさなんだけど、「ヤッターマン」は、そこんとこを肉体感覚として実写化してておもしろかった。


それはつまり、マンガでは省略しているような、トコロをまるでテレビで見ててツっこみを入れるように、フォローしてギャグにしているのだ。例えば、ヤッターマンがヤーターワンに乗るというか、横のでっぱりを掴んで「立ち乗り」をして移動するシーンってのがマンガではキメであるんだけど、

映画でも、キチンとこれをやるんだな。
で、実写で見ると非常に非効率というか、無防備極まりないこの「乗り方」に対して、容赦なくツっこみを入れるのな。
だいたいが、そんな感じで進んでいって、実はとっても(原作)アニメの世界観を大切にし、エキスを抽出してシナリオ化しているようで、昔テレビアニメを見てた世代には「温かい笑い」を与えずにはおられないんだな。


アニメ版「ヤッターマン」のキモ


それは、つまるところドロンジョ様のお色気ってことに尽きるわな。当時の少年達に送り続けられたメッセージは。
で、今回の映画には、そこんとこが過剰なくらいに盛り込まれてる。で、過剰といっても別にポルノになるでなく、小学生向けマンガ雑誌レベルの下ネタというか、エッチネタが、最初から最後までスキあらば放り込まれてる感じ。ただひとつ英語とはいえ、ロボとはいえ「I'm coming!!」って言葉を子ども向け映画で聞くとは。。。


ドロンジョ様がよかったのよ


実は観に行く前に既に「ガッカリ」気分を覚悟してたのが、フカキョンドロンジョ様だった。
映画秘宝に載った、ドロンジョグラビア見ても、なーんかやっぱり、ぽっちゃりしてるし、予告篇では乙女なイントネーションで「やっておしまい!」なんて言ってるし。
でもね、なんだか周りでは評判良くって、実際劇場で観たらば、見事にハマってたよ、ドロンジョ様として。本当フカキョンにはびっくりで、ぽっちゃりなイメージだったんだけど、結構シュッとした感じに見えている。だんだんと、「やっておしまい!」の決めゼリフも違和感なく受け入れられるようになったのです。

ボヤッキーもトンズラも、ヤッターマン2号もソレっぽくって良かったな。
ただ、ヤッターマン1号だけが、何をやっても「アイドル」な感じで、明らかに映画のクオリティを底下げしてしまってたな。実は観に行ったのが、初日の一番早い時間だったんで、やたらと女子小中学生とかが多くて、今までで一番うるさい劇場だったんだよね。で、その1号が最初に出てくるところで「キャー!!(かっこいい!)」、ドロンジョ様とのいいシーンで「キャー!(やめれー)」とか反応してて、やっぱり映画館で(価値観が全く異なる人たちと)観るのって楽しいなーって再確認でした。


お金をかけたVシネ見てる感じ。

映画と、そうでない映像の違いってなんだろう?
映画ではない、CMや、ミュージックビデオを観てて「映画っぺーなー」ってふいに思ったりする。

一方、「ヤッターマン」を観てて、「映画じゃないなー」と思う。
特にVシネっぺーなと思ったのは、なんだかすべてを1週間でつくってしまったかのような、「練られてない」感じを受けたから。

そうか、そして三池崇監督って、いつもそうなのか!
Vシネ的な自由な、どこまでアドリブなんだか、現場の都合なんだか。行き当たりバッタリなんだかわかんないようなのがハマれば「牛頭」とか「Dead or Alive」みたいにスゲェ面白いんだけど、なんだかズレちゃうと変な違和感(チープな違和感)がずーっと映画中を支配しちゃう。ホント、この映画にはアニメを見てたかつての子どもたちに向けたサービスがシコタマ詰め込まれてて、楽しかったんだけど(山本正行さんも大活躍)、いわゆる「映画」という土俵では(CGのマッチングも含め)、もったいない感じだったんだよなー。


そして、この実写版見てて改めて感服したのは、オリジナルが持ってた狂った設定たち。そしてその狂い方が、どれもビンビンにキャラ立ちしてて世界をつくってたんだね。
敵のあり方、意味のない変身。ロボのエサというメカの元。かわいいだけのチビロボ軍団。そしてその単純極まりない掛け声・・・などなどの狂った世界を実写に落とし込んで、無視せずいちいち拾い上げていった三池さんはやっぱりエライのかも。



そうそう、

コレの実写表現みたいのが出てきてて面白かったけども、会田誠さんに話通してるんかな。気にしてないのかな。(互いに)
(実写版っていうか、この作品を知っている人ならば、誰しもが想起するシーン、、って位だけども)


【小学2年生のいたいけな感想】