オシゴトとクリエイター

18:00-アップルストア銀座セミナールームで行われた「辻川幸一郎Film Festival」に行ってきた。
実は辻川さんを意識したのはそれほど昔ではない。
2,3年ほど前に、たまたま時間が空いて行ったラフォーレ原宿で開催されたResFestの1コマが、「AFXを使ったテク云々」で、その時に初めてコーネリアスの一連のユニークな作品が辻川さんという人が作ってて、今参加してるのが、まさにその人のワークショップだとわかったのだった。

今回のトークショーでも、あいかわらずの「飾らない」感じで、「この人とオシゴトしようと思ったら、まずは友達から始めなければ・・・」と思わせる空気を持っている。
最近の作品までを振り返るカタチで進められたトークショーで、辻川さんが頻繁に自作に対して言っていたのは「狂ってる」というコトバだった。
それはもう、自作に対する褒め言葉であろう。
古臭い木製の窓枠の外にはアルプスの山、その手前で楽しげにぷにぷにと跳ね回り、分裂し、またくっつくおっぱいたち。
確かに狂っている。
2バージョンあるパルコのCF。実は2つ同時に流すと同時刻に「起こっている」ことが偏執狂的に無数に描かれているコトがわかる。
(この人、映像のコーネリアスやん!というツっこみはさておき)
2バージョンが同時刻に流れるコトなんてアリっこないし、誰も気付かないよ!そんなコト!
狂ってる。
そして、この「狂っている」コトを大切にしているのが、きっと辻川さんらしさなんだろうと思う。

そして、今回帰り道でふと気付いた。
辻川さんはグラフィックから映像に来た人なのに、いわゆる「モーショングラフィックス」の人ではないのだ。これは驚きである。
モーショングラフィックス」をやっている人で、グラフィック以外の部分を大切にしている人は少なくないが、辻川さんはまさしく「映像」を作っている。
そして、多くの作品を見返して気付くのは、その作品のすべてが、PVならその歌や、音楽、CFであれば商品に確実にリンクしているのだ。

オシゴトとクリエイターという観点から見ても非常に刺激になったトークショーだった。
(司会進行の人はつらかったけどね)