私は何故わが子を疎開させたのか?

自分のメモ(気持ちの記録)の為に記します。

★人それぞれ、様々な状況、都合、優先すべきことがあるので、すべての人が最終的に「子どもの疎開」を選ぶことにはならないでしょう。
また、子どもだけを疎開させるのではなく、家族一緒に居られるのであれば、可能なかぎりその方が良いでしょう。
幸い小学校四年生の1人息子で、たまたま関西に実家があるという条件だからこそ可能だったことです。
また、この記録はあくまで2011.3.19現在のことです。刻一刻と変わる状況の中の一瞬に過ぎません。


M9.0関東東北大震災が起こったのが3.11(金)

3.14(月)に子どもを東京から兵庫県(カミさんの実家)に送る。

飛行機は見送りと、お出迎えさえすれば、子ども1人で乗ることができるので、1人送り出す。
幸い、うちの子は何度もこの方法で兵庫に行っていたし、春休みには行く予定だったので、予め準備が整っていたようなものだった。
比較的早い時期に疎開させたのだが、十分に時間をかけて「疎開させるべきか、東京に留めるべきか」は検討した。


東京在住の子どもの疎開
メリット・デメリット(2011.3.19現在)

疎開のメリット】
a)余震からの不安から開放される
b)原発事故の被爆からの不安から開放される
c)電力消費・消費物資を少なくとも1人分減らせる
d)後日東京からの避難命令が出た場合に、パニック起因人数を減らせる

【東京に留まるメリット】
p)学校に通える
q)緊張下の東京を体験できる
r)疎開先に迷惑をかけない
s)親と子が一緒に居られる
(他にあるかもしれません)


q)緊張下の東京を体験できる・・・はちょと皮肉めいた感じだが、本気でそう思う。
東京に留まるべき最大のメリットは、学校への通学なんかより、むしろこのことの方が後の人生には大きく糧になるだろう。
ただし、そのことを覆すほど、リスクが大きすぎた。「被曝の可能性」だ。
大震災から一週間たった今、原発「安心」材料も多く目にするようになった。


ツイッター上には・・・
「情報を吟味して、東京に残る」
「溢れる情報に惑わされて、慌てて東京からにげないで!」
「海外の人たちには情報が行ってないので、大げさに避難しているだけ。」

的なツイートを見かける。

しかし、果たして今出ている情報の中に、事実を正確に伝えるものなどあるのだろうか?
最も正しい情報は「どうなっているのか誰も把握できていない」ではないだろうか
どんなに信用できそうなソースも、原発内の計器類が正常に作動していないのだから。
(2011.3.19現在も)


そうして、子どもを疎開させることを決め、3.14(月)の朝に送りだした。
飛行機が飛び立つまでは、地震も、大きな原発パニックも起きないでくれと祈りながら。


そして、そのことを自分自身が以下のようにツイートするのには1日悩んだ。

「東京在住です。昨日 息子(小四男子)を関西地方の妻の実家に疎開させました。疎開させない理由が見当たらなかったからです。来週「何にもなかったね」と、笑って帰って来ることを祈って送り出しました。」
http://twitter.com/szkx/status/47439456344612865


自分自身、このことを「やりすぎ」「笑われること」と感じているからだ。
確かにそうだし、その上で送り出し、無事で帰って来れればいいじゃん。くらいに思っていた。

だから、敢えて宣伝することではないと思っていた。
しかし、このような状況の中、ぼくの予想をはるかに超えて、東京脱出組を、妬みや、ヒガミに近い感情でとらえている人が居るのを、ツイッターの書き込みから感じるのです。


【参考】
東浩紀疎開」に関するツイート
http://togetter.com/li/113285

疎開を勧めたりはしないが、疎開を非難するのは絶対にまちがっている。疎開しないひとを「かっこいい」とたたえるのも完全に意味がない。逃げるのも逃げないのも自由。それが社会の前提。」


自分の意志で動く人を、そして動ける人が許せないのだろう。
ある人は、近所の人が引っ越しするのを見て(勝手に疎開と解釈し)「身勝手な人だと思うが、自分の中にも東京から逃げたい気持ちがある」と恥じるツイートをしていた。
周囲の目を気にして、自分で決定を下し、行動できない日本人。

一番厄介なのは、その決定の所在が、自分自身の中ではなく、漠然とした「周囲」になってしまうことだ。
(以前、KY=周囲に合わせられない奴は悪 なんていう言葉が流行ってしまったことが、なにより日本の文化的側面を表しているだろう)

この気持はよくわかるし、自分もこのようなことを重ねて来た結果、現在の問題が自分に降りかかっているのだろう。
3.11を以降、自分の行動に責任を持った行動を、それぞれがするようにならなくては、同じような人災は繰り返されてしまうのではないだろうか。


東氏も「東京は安全」だと思うが、東京を脱出した、旨のツイートをしているが、まさに同じ気持だ。
加えて言えば、今後東京全域に避難命令や、屋内退避命令が出る可能性なんて1%くらいではないだろうか。
しかし、残念ながら、いままでには無かった1%なのである。


「最悪を想定して 楽観的に行動する」

リスク管理と、トラブル行動の昔から言われている言葉。
こういうことを今は一人一人考えてみた方がいいと思うんだな。

その上で、自分の出来る最善のことを、後悔をしないで済むことをしていきたいと思う。


子どもも大事。
自分も大事。
国も大事。
住んでる町も大事。
現在も大事。
近い未来も大事。
遠い未来も大事。

行動するのは自分。



★敢えて、文末にも書きます。当たり前のことですが。
疎開させようが、させまいが、自分の「やるべきこと」があって、その場に留まるのも、守るべきものがあって、留まったり、離れたりするのも、それが自分が考えた末に出した答えであれば、誰も非難することでも、非難されることでもないです。


追記:
伝わりやすいように「疎開」という言葉を敢えて使ったのですが、「疎開」はおおげさです。特に心理的に。
チョット間の「小旅行」「帰省」「息抜き」と考えて、行き先でノンビリしたり、楽しんだりするのが良いと思うのです。